それは、吹奏楽部の練習に明け暮れていた、中学時代の蒸し暑い放課後のことだ。
僕の意識を支配していたのは、部室に響く合奏の音色ではなく、ある一人の後輩が放つ「匂いの予感」だった。
練習の合間、彼女が席を立ってトイレへ向かう。その時間が妙に長いことに、僕は気づいていた。
ある日、僕は見てしまったんだ。彼女が手に握りしめていた、あの白い四角いナプキンを。
「完全下校」の放送が流れ、校舎から人の気配が消えた頃、僕は「忘れ物を取りに行く」という嘘をついて女子トイレに忍び込んだ。
心臓が口から飛び出しそうなほどの緊張感。向かったのは、さっきまで彼女がいた個室だ。
サニタリーボックスを開けた瞬間、世界が反転した。
そこには、彼女が使用し、捨てていったばかりのナプキンがあった。
我慢なんてできるはずがない。僕はそのナプキンを掴み取り、なりふり構わず鼻に押し当てて、肺の奥深くまで空気を吸い込んだ。
「……っ!!」
鼻腔を殴りつけたのは、強烈な生命の匂いだ。
鉄のような生臭い血の匂いと、彼女という生き物の体温、そして汗と湿り気が混ざり合った、なんとも言えない芳醇なアロマ。
そのナプキンから立ち上る匂いを嗅いだ瞬間、僕の息子は暴力的なまでの熱を持って膨張した。
右手が止まらない。
頭がクラクラするほどの恍惚感の中、僕は個室の冷たい静寂を切り裂くようにしてフィニッシュした。
僕はそのナプキンをどうしても捨てることができず、カバンに隠して家に持ち帰った。
自分の部屋で、鍵をかけ、その匂いを何度も吸い込みながら彼女を犯す妄想に耽った。
あれこそが、僕という人間が「匂いフェチ」として堕ちていった、真実の原点なのだ。
今の僕たちが、あの「芳醇な残熱」をより確実に、より濃密に味わい尽くすための必須アイテムがこれだ。
あの日と同じ、芳醇な出会いを探してみる直近で友達が送ってくれたナプキンを貼っておこう。


コメント